１日目
シアトル国際空港で入国審査待ちの列に並んでから既に１時間以上経過していた。列の進みは鈍く順番が回ってくる気配は一向になかった。こんなに時間がかかっている理由はテロ対策で入国審査が厳格化しているためではなく、単に審査官の対応がのんびりしているためだった。入国審査待ちの者が長蛇の列を作っていることなど我関せずといった様子で、入国者と雑談しながらマイペースで審査を行っていた。
さらに数十分経っても状況は変わらなかった。この後シアトルからアンカレッジへ行く飛行機の出発時刻まで残り３０分を切ってしまった。ダメモトで係員に事情を説明し、優先審査してもらえないか頼んでみたが、にべもなく断られてしまった。諦めるしかなかった。結局入国審査を終えたのは搭乗予定の飛行機が出発した３０分後だった。今回のアラスカ釣行はこんなハプニングからスタートした。
ここ数回の海外釣行がソルトや怪魚系の釣りだったので、久しぶりにトラウトを釣りに出かけたいと思っていた。釣行先を探している時、いつも世話になっている釣りツアー会社、トラウトアンドキングのウェブサイトの釣行レポートコーナーでアラスカ、ブリストルベイでの釣りの報告を見かけた。釣れている魚も素晴らしかったが、何よりその自然景観に目を奪われた。この景色を自分の目で見たいと思った。早速相談すると、偶然にもこの場所へのスタッフ釣行計画が８月のお盆休みにあることが分かった。すぐに参加を表明した。
出発は８月１０日。お盆休み初日とあって成田空港はかなり混雑していた。今回の参加者は僕を含めて５名、それにトラウトアンドキングのＡ氏が加わった総勢６名での釣行となった。集合時刻には全員揃い、搭乗手続きと出国を無事に済ませて、デルタ航空機でシアトルに向かった。そして到着したシアトル空港で上述したハプニングに見舞われたのだ。
成田空港の出発ロビーお盆休み初日とあって混雑していた
今回利用したデルタ航空の航空機飛行機も満席だった
こういう時、Ａ氏の存在は心強かった。米国留学経験があるので英語がとても堪能で、かつ旅行経験も豊富でこうした時の対処方法も熟知していた。
すぐに搭乗予定だったアンカレッジ便を運航するアラスカ航空のカウンターに向かい、次の便への振替を手配した。しかし、不運は重なった。アメリカも８月はバケーションシーズンでアンカレッジは人気の旅行先なのだ。次便以降に残席がほとんどなく、３つの便に分かれて移動することになってしまった。
アラスカ航空のカウンターで振替便の手配をするＡ氏Ａ氏の経験と語学力にはずいぶん助けられた
当初の旅程ではこの日の夕方の便でアンカレッジからアラスカ半島の付け根にあるキングサーモンという町まで飛ぶことになっていた。しかし、この状況だとキングサーモン行きの便も最終便に振替える必要がでてきた。今夜はアンカレッジ泊まりになるのではないかという予感がした。
嫌な予感は的中するものだ。キングサーモン行きの最終便に残席がなく、結局この日はアンカレッジに宿泊せざるを得なくなった。キングサーモンへは翌朝９時過ぎの飛行機で向かうことになった。すぐにＡ氏がアンカレッジでの宿泊先を手配してくれた。
僕は２番目の便でアンカレッジに向かうことになった。時刻は昼を過ぎていたので、シアトル空港内の喫茶店で昼食をとり飛行機の出発を待った。
昼食を購入した空港内の喫茶店なかなかお洒落な店だった
チーズサンドとケーンコーラ溶けたチーズがとてもおいしかった
ケーンコーラはサトウキビの風味が目新しかった
シアトルを１５時前に離陸した飛行機は３時間ほどのフライトでアンカレッジ空港に無事到着した。アンカレッジとシアトルには１時間の時差があるので、アンカレッジの到着時刻は１７時過ぎだった。
アンカレッジ空港のロビー至る所にクマの剥製が置かれていた
空港で先に着いていた同行者と合流し、１時間後の飛行機で到着するＡ氏を待った。全員揃ったのは１８時半だった。すぐにホテルのシャトルバスを手配して宿泊予定のホテルに向かった。
空港からダウンタウンに向かう道アンカレッジの街は空がとても広かった
空港からホテルまでは２０分ほどだった。ホテルはアンカレッジのダウンタウンにあった。簡素な作りだが部屋もベッドも広く良いホテルだった。部屋に荷物を置いて夕食をとりに街へ出た。
宿泊したゲストハウス・アンカレッジ・イン簡素だが広々としたホテルだった
客室ベッドが広くて快適だった
ホテルのフロントで聞いた評判の良いシーフードレストランへ向かったが、あいにく満席だった。そこで近くにあったダイナーに入店した。僕は地ビールとサーモンのグリルを注文した。新鮮なサーモンはとてもおいしかった。食後は土産物屋を訪れたりして予定外のアンカレッジの夜をそれなりに楽しんだ。
地ビールオレンジを添えるのがアラスカ流らしい
グリルドサーモン新鮮でとてもおいしかった
ダウンタウンの土産物店見ているだけでも楽しかった
午後１０時過ぎのアンカレッジの空やっと日が沈みかけていた
