最終日
K氏は午後の便で帰国するため、この日は朝から別行動となった。僕は5時にホテルを出発してスメットとITモンスターレイクに向かった。ここも外来魚を釣ることができる管理釣り場で、ピラルクは入っていないがレッドテールキャットフィッシュやアリゲーターガー、在来種のナマズの魚影が濃い釣り場だ。
この管理釣り場もバンコクの郊外にあるが昨日の釣り場よりホテルから近い。釣り場には6時半に着いた。顔なじみのスタッフが出迎えてくれた。
着いてまず朝食をとった。この日もスメットの奥さんが弁当を作ってくれた。ガパオもナマズのグリーンカレーも豆腐と豚挽肉のスープもおいしかった。
ITモンスターレイク僕が大好きな管理釣り場だ
釣りの前に腹ごしらえスメットの奥さんの料理は本当においしい
スタッフによればここ数日、なぜか魚の活性が低いという。様子見に餌を撒いてもらったが、魚が群がってくることはなかった。それでも餌を撒きながら釣り始めると散発ではあるが反応があり、ルアーとフライでレッドテールキャットフィッシュをキャッチすることができた。
ルアーにさっそくヒットレッドテールキャットフィッシュの引きは速さはないがトルクフルだ
レッドテールキャットフィッシュアベレージサイズより少し小ぶりだ
フライでもヒット
この魚は良く太っていた日が高くなっても魚の活性は一向に上がらなかった。そこでテンカラ竿で小魚を釣ってみることにした。スタッフがパン屑をくれたのでそれを餌にした。針に餌を付け投げ入れるとすぐに小魚の群れが餌に飛びついてきた。数投目でフッキングした。釣れたのはフナのような体形の銀色の魚だった。投げる度にアタリがあるが、フッキングさせるのが意外と難しく、そこがとても面白かった。スメットは最初は馬鹿にしたような目で見ていたが、1回やらせてみると途端に態度が変わり、自分の小物ロッドを持ち出して釣り始めた。
テンカラ竿で小物釣り餌はパン屑だ
仕掛けを投入するとすぐにアタリがある
釣れるのはフナのような魚だ
体長は大きくて15㎝くらいだった
こんな小さなナマズも釣れた鰭に刺があるので触るのは要注意だ
腹側から見ると目つきが可愛い1時間ほど釣りを続けているると少し飽きてきた。そこで気分転換を兼ねて池の脇の水路の様子を見に行った。すると水が抜かれて浅くなった水路にティラピアが群れていた。今度はこれをテンカラ竿で狙ってみることにした。水深が20㎝もないのでウキ下を極端に浅くし、魚を驚かさないよう静かに仕掛けを投入した。餌は魚肉ソーセージを使った。水が濁っているせいか、餌になかなか気付いてもらえなかった。それでも魚の目の前にうまく餌を落とすと魚が反応した。餌を咥えたのを確認して合わせると魚の抵抗が竿に伝わってきた。釣れたのは25㎝ほどのティラピアだった。泳いでいる様子から予想していたより大きな魚だった。その後もコンスタントに反応があり1時間ほどで8匹キャッチすることができた。最大魚は35㎝もあった。テンカラ竿で30㎝を超えるティラピアを釣るのはスリリングでとても面白かった。釣ったティラピアは午後の餌釣りの餌と食用に生かしたままキープした。
池の横の水路水が抜かれていて水深は20㎝なかった
ティラピアがたくさん泳いでいた
仕掛けを魚の鼻先に落とすと反応があった餌は魚肉ソーセージだ
水面が低いので取り込むのが一苦労だった
釣れたティラピア30㎝くらいでもテンカラ竿で釣るとかなりスリリングだ
小ぶりのティラピアも釣れた
今回の最大魚35㎝あった
釣った魚は活かしておいて餌釣りの生餌と食用にした
釣りの合間に水分補給OISHIのグリーンティーはタイではメジャーなドリンクだ
ほんのり甘くて僕好みだ
釣り場の飼い猫一番風通しの良いテーブルの上で気持ちよさそうに昼寝していた
この池は午後2時以降は餌釣りが可能になる。普段は死んだティラピアを餌にしてレッドテールキャットフィッシュを狙うのだが、この日は先ほど釣ったティラピアを使った生餌の泳がせ釣りで大型のチャオプラヤキャットフィッシュを狙うことにした。チャオプラヤキャットフィッシュは生餌でないと釣ることが難しい。
チャオプラヤキャットフィッシュは池の中央を回遊しているので、25㎝ほどのティラピアを針に付け、池の中央めがけてキャストした。そこからティラピアがさらに沖の方に向かって泳いでくれることを願うのだが、すぐに岸の方に戻ってきてしまい、こちらの思うようにはなかなか泳いでくれなかった。それでも何回か投げ直していると、ティラピアが沖に向かい始めた。しばらくするとはっきりしたアタリがあった。少し待って魚がしっかり餌を呑み込んだタイミングで合わせた。トルクのある抵抗感が伝わってきた。抵抗の様子はレッドテールキャットフィッシュとは明らかに異なっていた。
魚はフッキングしたことに気付いていないかのようにゆっくりと泳ぎ回っていた。ポンピングを駆使して懸命にリールを巻いたが、何回か巻くと、ほぼ同じだけラインを出されることが何十回も繰り返された。終わりが来ないのではないかと思うような持久戦となった。ファイトを始めて30分を過ぎると魚もすこし疲れてきたようだった。次第に手元に寄ってきた。しかし残り10mくらいまで寄ってくると再び池の中央めがけて泳ぎ始めた。ロッドを持つ右手がしびれてきた。自分を奮い立たせてロッドの弾力で魚を止めた。最初に魚体が見えたのはファイトを始めて40分以上経った頃だった。銀色に輝く魚体には長い背鰭があり、まぎれもなくチャオプラヤキャットフィッシュだった。その後もしばらく膠着状態が続いたが、徐々に魚がおとなしくなってきた。釣り場のスタッフがネットを持って池に入り、巧みにランディングしてくれた。ファイト時間は45分以上かかっていた。
大きめのティラピアを使った泳がせ釣りの仕掛けに良型がヒットロッドの弾力を最大限使って魚にプレッシャーをかけ続ける
それでも魚は悠々と泳ぎ続けた
45分を超えるファイトの末にネットイン右手の握力はほとんどなくなっていた
魚が大きすぎて池から上げられないので、僕が池に入って記念撮影をした。キャッチできたチャオプラヤキャットフィッシュは体長約160㎝、重さは推定で50㎏以上の良型だった。一人では持ち上げることができなかったのでスタッフに手伝ってもらって抱え上げて写真に納めた。最後に狙い通りに良型のチャオプラヤキャットフィッシュが釣れてとても嬉しかった。
池に入って魚を抱える逞しい魚体に思わず笑みがこぼれてくる
重すぎて一人では持ち上がらなかった
スタッフに手伝ってもらって二人がかり持ち上げることにした
魚体をしっかり見せて記念撮影最後に狙っていた良型のチャオプラヤキャットフィッシュが釣れて大満足だった
まだ時間はあったが、十分満足したので早目に空港へ向かうことにした。15時半に釣り場を出発して空港には18時過ぎに着いた。
チェックインまで時間があったのでマッサージで体をほぐし、タイ料理の夕食とデザートでバンコク釣行を締めくくった。
釣り場から少し早めに空港に向かった
空港に着いてまずマッサージで身体をほぐした
バミーヘン叉焼がたっぷり載っていておいしかった
マンゴースムージー大好物の甘いものでバンコク釣行を締めくくった
今回は初めて経験する同行ツアーの引率役だったので、普段の釣行よりかなり気を張っていたが、参加者のK氏が満足してくれたことが一番の喜びだった。同時に、タイでスメットと釣りをする楽しさを再認識できた旅だった。帰国する頃には風邪もすっかり治っていた。
