出発前
2020年3月26日。本来ならタイのバンコクへ釣りに行く日だった。だが新型コロナウイルス感染症のパンデミックにより渡航することができなくなってしまった。その後も予定していた海外釣行を軒並み延期せざるを得ない状況となった。海外に行けない日々が2年以上続いた。海外で釣りをしたいという思いが募り続けた。その間も釣行予定国の渡航条件を定期的にチェックしたり、渡航時に必要となるアプリをダウンロードするために旧型の携帯をスマートフォンに変更したり、渡航条件をクリアするためワクチンを早めに接種したりして海外釣行に行くための準備は怠らずにいた。今年の春から日本帰国後の隔離がワクチン接種済者は免除されることとなった。渡航国によっては渡航前の検査やワクチン接種歴を条件に隔離免除や隔離期間短縮となる国が出始めた。
そこで4月に入ってコロナパンデミック後初の海外釣行の計画を具体的に立て始めた。釣行先はタイのバンコクに決めた。ワクチン5回接種済であれば入国後１日だけの隔離で済むようになったことが主な理由だが、前回の釣行をコロナのためにキャンセルせざるを得なくなったことへのリベンジの気持ちも強かった。時期は6月上旬とした。さらに条件が緩和されるのを期待して先の時期に設定しても状況が悪い方に変わる可能性がある。多少制約はあったが行ける時に行っておきたいと思った。期間は8日間。これまでのバンコク釣行と比べると長めな日程だ。久しぶりの海外なのでできるだけ長く滞在したかったのと、入国後の隔離や帰国前の検査などに時間を割かなければならなかったからだ。
さっそくいつも現地で世話になっているガイドのスメットに連絡した。タイに行くことを伝えるととても喜んでくれた。彼は2年以上ガイドの仕事ができていなかった。彼のスケジュールを1週間おさえた。
航空券とホテルはネットで手配した。幸運なことに5月以降のタイ入国者はワクチン2回接種済であれば入国後の隔離が不要となったので、現地到着日の隔離用のホテルの手配は不要となった。
これまでのバンコク釣行であれば準備はこれだけで済んだ。しかし新型コロナウイルスパンデミックの影響でやらなければならない準備がまだいくつもあった。
まず必要となったのは公的な予防接種証明書の取得だ。新型コロナワクチン接種証明の専用アプリはスマホにダウンロードしてあったが、入国前の申請や現地での確認に紙の証明書が必要となることが想定されたので区役所を訪れて発行してもらった。
予防接種証明書区役所に出向いて取得した
さらに入国条件として新型コロナウイルス感染症が補償対象に含まれている1万ドル以上の旅行保険に加入して英文の保険証書を提示する必要があった。ネットで条件に合致した保険を探してエイチ・エス損保の海外旅行保険に契約した。英文の保険証書は契約後すぐにダウンロードすることができた。
旅行保険の英文保険証書コロナウイルス感染症をカバーする1万ドル以上の医療保険に加入することが入国条件だ
これらの情報とパスポートの記載内容、入出国日などをタイ政府が運営するタイランドパスというサイトに登録した。登録後すぐに隔離なしの入国が可能である旨の承認が下りた。これでタイに入国する準備は完了した。
タイランドパスの申請画面日本語表示はないが分かりやすかった
タイランドパスの承認済画面次にしなければならなかったのが帰国の準備だ。帰国のためには帰国便搭乗72時間前以内に実施した新型コロナウイルス陰性の結果報告書の取得が必須だった。それも日本政府が承認した方法で検査し、報告様式も政府が求める要件を満たしている必要があった。条件に合致した検査がおこなえるバンコク市内の施設をネットで調べた。対応してくれる施設がいくつか見つかった。比較的安価な施設もあったが、料金は高めでも日本語対応が可能で信頼性の高いサムティヴェート病院を予約した。
帰国のためのPCR検査はサムティヴェート病院で受検したさらに帰国時の検疫手続きに必要な専用アプリMySOSをスマホにダウロードしてワクチン接種情報等をあらかじめ入力しておいた。
MySOSアプリの画面出発数日前には搭乗予定の全日空から渡航書類事前確認を求めるメールが届いた。専用サイトの指示に従ってパスポート情報を入力し、ワクチン接種済証明書や保険証書をアップロードした。すぐに確認が取れたとのメールが届いた。
ANAの渡航書類事前確認サイトの画面タイランドパスと同じような情報を登録した
