ＮＺ北島ムルパラへの釣行は今回で５度目となる。すっかり恒例行事となった釣行だが、今回はこれまでと大きく異なる点が二つある。
一つ目は釣行時期だ。これまでは１〜３月の現地のサマーシーズンにでかけていた。しかし、今回は家庭の事情などでその時期に日本を離れることが難しいことと、他のシーズンの釣りを体験してみたいという思いもあり、現地の春にあたるこの時期に出かけることにしたのだ。
そして二つ目はメンバーだ。これまでは海外釣行経験豊富なＹ氏、Ｆ氏らとともに出かけていたため、計画や旅行の手配などすべて彼らに任せ、ただ付いていくだけで良かった。今回は彼らとのスケジュールが合わなかったため、１０年来の釣友であるＭ氏を半ば無理矢理口説いての二人旅となった。Ｍ氏にとっては初の海外釣行となる。そのため、手配はすべて僕が行うこととなった。正直なところ少々不安な旅立ちだった。
なにはともあれ、無事に機上の人となり少しほっとした。ぐっすりと眠り、翌朝食事が配られる頃には飛行機は既に赤道を超えていた。９時前に飛行機はオークランド空港に着陸した。
入国、レンタカーの手続きなどもスムーズに終わり、１０時にはオークランド空港を出発することができた。饒舌なM氏とたわいないことを喋りながら３時間ほど走り、ロトルアの街に着いた。ここで昼食を摂り、町を少し散策した。この時期のＮＺは至る所に花が咲き、木々の新緑も鮮やかで景色がとても素晴らしかった。この日は晴天だったこともあり、日本の５月のようなすがすがしい天候だった。
ロトルアの街で見かけた街路樹新緑がとても美しかった
ロトルアからムルパラまでは１時間弱の道のりだ。日本の春に菜の花が道端を黄色く染めるように、道沿いには一面にブルーム（エニシダ）の花が黄色く咲き乱れていた。ムルパラにあるガイドのマリーの家に着いたのはちょうど午後３時だった。マリーと奥さんのリネット、そしてこども達の懐かしい笑顔が僕たちを迎えてくれた。
夕食までにはまだ少し時間があるので荷解きもそこそこに、さっそく釣りに出かけることにした。マリーからライセンスを購入しようと思ったのだが、今年から手続きが変更になりライセンスは郵便局でしか購入できないということだった。（これにはガイド達の不満が多かったようで帰る頃にはライセンスが管轄団体から郵送されてきていた。）さらに、これまでは１週間券があったのだがこれが今年から廃止されたという。割高になってしまうが、しかたないので年券を購入することにした。
ライセンスは車で１５分ほど走ったところにある郵便を扱っているガソリンスタンドで購入できるということだった。道順を聞こうと思っていたら、暇なので連れていってくれるという。さらに近くの湖で一緒に釣りでもするかと誘ってくれた。断る理由もないのですぐに釣りの支度をしてマリーの車に乗った。
釣り支度をするＭ氏後は今回宿泊したマリーの家のコテージ
マリーの車には見慣れたゴムボートが連結されていた。ライセンスを購入し、数百メートル車を走らせて橋のたもとの空き地に車を乗り入れた。そこはＡ湖のインレットにあたる水深の浅い場所だった。もう少し季節が進めばダムゼルにアタックするブラウントラウトのライズが見られる場所である。
ボートを湖面に降ろし、水が動いている地点まで移動した。最初にダムゼルのニンフを使ってスローリトリーブで誘ってみたが反応はなかった。そこで、釣り方を得意なルースニングに変更し、ＭＳＣとフェザントテールのダブルニンフのシステムとした。数投でマーカーに反応があった。最初に釣れたのは４０センチほどのレインボートラウトだった。どこに釣りに行っても最初の１匹はとても嬉しい。思わず顔がほころんだ。ここでは１時間ほどで３匹の魚をキャッチすることができた。
Ａ湖で釣れた最初の１匹このサイズでも力強いファイトを見せる
夕食はバーベキューマリーのこども達も大喜び
夕食後はマリーの家の裏を流れるＲ川にイブニングの釣りを楽しみに出かけた。この時期、昼間はニンフ中心の釣りになるがイブニングタイムはメイフライやカディスのハッチが盛んで、それらにライズする魚を狙ったドライの釣りが楽しめるということだった。現この時期の日没は２０時頃と遅い。ライズが一番盛んになるのも２０時を過ぎてからになる。川に着いたのはちょうどそんな時間帯だった。
すぐにマリーがライズを見つけてくれた。岸寄りに突き出した沈木の枝の１ｍほど下流だった。１４＃の茶色のＣＤＣダンをティペットの先に結び枝にかけないよう慎重にキャストした。数投目に魚が反応したがうまくフッキングできなかった。ライズが止まってしまったが、またすぐに始まった。フライを明るい色に換えて再挑戦した。今度は一発でフライに出た。早アワセは禁物なので一呼吸おいてロッドを立て、しっかりとフックセットした。障害物に潜られないよう注意深くファイトして魚を寄せ、マリーにランディングしてもらった。良い型のレインボートラウトだった。最高の形で初日の釣りを終えることができた。
イブニングで釣った良型のレインボートラウトこのサイズがドライで釣れるとやはり嬉しい
