ＮＺ２００６年釣行記（１）

１日目

　２００６年１１月１１日、成田発オークランド行きニュージーランド航空９０便は定刻の９時２０分にオークランド空港に着陸した。これから８日間、ニュージーランドの釣りを楽しむことになる。今回は気楽な一人旅だ。

　ニュージーランド航空の機内。今年から各座席に液晶モニターが付いた。
　好きな番組を選んで見られるのでとても便利だった。

　入国手続きはスムーズだった。ゲートを出てすぐにレンタカーのカウンターに向かった。予約券を渡して手続きをした。
　「どこに行くの」
　レンタカーの係員が親しげに話しかけてきた。
　｢ムルパラさ。ロトルアの近くの｣
　「ふーん。道は大丈夫？」
　「大丈夫。国道１号線をハミルトンまで走って、あとは５号線でロトルアに行けばすぐそこさ」
　もらったばかりの地図を広げてルートを示した。
　「それでＯＫ。よく知ってるね」
　「もちろんさ。もう７回目だもの」
　「そうか。ところで、車種は何にする？やっぱりトヨタがいい？新車のカローラがあるよ。あとはフォードフォーカス。これも新車。」
　「それならフォードがいいや。フォーカスのほうがカローラよりスポーティーだからね」
　「たしかにそうだ。じゃ、フォーカスを使いな。気をつけて」

　新車でのドライブは快適だった。走り慣れた道を２時間半ほど走るとロトルアの街が見えてきた。街外れのマクドナルドで昼食を摂り、街中の土産物屋で買い物をしてからムルパラに向かった。

　今回の足となったフォードフォーカス。快適なドライビングを楽しめた。

　１時間ほどでマリーの家に着いた。３時少し前だった。マリーはガイドに出かけていて留守だったが奥さんのリネットが迎えてくれた。
　「リネット久しぶり。元気だった？」
　｢元気よ。でも今ちょっと大変なの。看護学校の卒業試験が来週あるのよ。勉強しなくちゃいけないからあんまりお構いできないわ。なんならロッジかモーテルに泊まる？｣
　「そりゃ大変だね。でも、追い出さないでほしいな。簡単な食事で大丈夫だし、シーツ交換も自分でやるからさ。」
　｢そういってくれるなら嬉しいわ。ほんとうにごめんなさいね。さあ上がってお茶でもどう？｣
　「お茶はいいや。勉強を邪魔しちゃいけないからね。それよりライセンスを発行してほしいんだ。夕食前に川の様子を見てきたいから。」
　そんなやり取りの後にライセンスを受け取り、コテージで荷物を解いた。すぐに釣りの支度を整え、マリーの家の裏を流れるＲ川に向かった。

　川に向かう途中の風景。この景色を見るために今年もここにやってきた。


　Ｒ川は濁りこそないものの多少増水していた。数日前にまとまった雨が降ったらしい。いくつかのポイントを廻り、ダブルニンフの仕掛けで魚の反応を見たが、まったく反応がなかった。移動の疲れもあるのか、釣りのリズムも普段どおりにいかず、キャストミスやフライロストが頻発して少々イライラしてきた。
　そこで、思い切って川を変えることにした。５分ほどのドライブでＦ川下流部のポイントに移動した。この川も少し増水気味でにごりも少し入っていた。この川では２度ほどアタリがあったが、いずれもフッキングしてすぐにバラしてしまった。飛行機の中でよく眠れなかったことが影響しているのだろうか。今ひとつ調子がでないまま夕食の時刻となった。

　Ｆ川下流のポイント。この日は不調だった。

　マリーの家に戻るとマリーもガイドを終えて帰ってきたところだった。再開を喜び合ったあとで川の様子を確認してみた。やはり先週数日間雨が続いたらしい。この日も川は避けて湖で釣りをしてきたとのことだった。
　夕食は一皿盛の簡単な食事だったが、野菜の豊富なとても美味しい料理だった。夕食後はマリーも一緒に、先ほど釣った裏のＲ川にイブニングをしに出かけた。

　ニュージーランドの１１月は日没が遅い。日没は８時頃だ。そのころにライズが始まるとマリーが言った。
　川辺で少し待っているとポツポツとライズが始まった。時計を見るとちょうど８時だった。
　この時期のハッチの主役はメイフライになる。フライは１６＃のＣＤＣダンを選んだ。数投目めでフライがフィーディングラインを流れた。ライズ地点に通過しようとしたとき、魚がゆっくりとフライをくわえた。
　一呼吸置いてしっかりあわせた。魚は身を翻して抵抗を始めた。心地良い感触がロッドに伝わってきた。最初の魚なので少し慎重にやりとりした。手元まで寄せマリーにランディングしてもらった。５０センチほどのレインボートラウトだった。
　良型の魚をキャッチして気分よく初日の釣りを終えることができた。

　イブニングでキャッチした良型のレインボートラウト。