ＮＺ２００６年釣行記（２）

２日目

　二日目の朝は少し冷え込んだ。
　今回は今日から７日間のうち４日間をマリーのガイドで、３日間を一人で釣りをすることにしていた。ガイドがつく日はマリーの都合で決めてもらうことになっていた。

　二日目の朝は雲の多い天気だった。

　この日は一人で釣りをすることになった。マリーが息子のランスとペアを組んでクロスカントリーの大会に出る日なのだ。７時に起きるとマリーはすでに出発した後だった。
　本流や大きな支流は増水の影響がありそうだったので、まずは小渓流に竿を出すことにした。１時間ほどドライブして目指す渓流に着いた。
　最初に本流への流れ込み部に行ってみた。昨年はここで何匹かキャッチしている。しかし、本流の流れが変わりポイントが消滅していた。川は昨年と大きく変化していた。
　小渓流を遡行しながら魚を探すことにした。この川での釣りは魚を見つけてのサイトフィッシングが基本となる。

　この日最初に竿を出した小渓流。日本の川によく似ている。

　１５分ほど歩いたところで最初の魚を見つけた。慎重にアプローチしたが、魚はこちらに気づいたらしく、数回キャストしたところで逃げられてしまった。
　さらに１０分ほど遡行したところで流れの中央に定位している魚影を見つけた。今後は慎重に下流側に回り込み、ダブルニンフの仕掛けで狙った。２投目でうまくフィーディングレーンにフライを落とせた。魚の上をマーカーが通過した次の瞬間、マーカーが水中に沈んだ。あわせると明確な手ごたえが伝わってきた。
　魚は一旦上流に走り、次に流れに乗って一気に下流に下った。ラインを出されすぎないよう後を追い、徐々に魚との距離を詰めた。最後は流れの緩い場所に魚を誘導してネットに収めた。６０センチ近い良型のレインボートラウトだった。自然と頬が緩んだ。

　小渓流で釣った良型のレインボートラウト。

　さらに上流で先ほどの魚と同サイズの魚を見つけた。こちらもフッキングには成功したが、直後にジャンプされた瞬間フックが外れてしまった。
　結局この渓流でキャッチできたのは１匹だけだった。しかし、十分満足できる釣果だった。
　時刻はまだ昼前だった。周囲の本流を見て回ったが川の様子が変わっていていずれも良いポイントではなかった。

　Ｒ川。川の様子が去年と大きく変わっていた。

　そこで午後はキャナルに行ってみることにした。
　キャナルも様子がかなり変わっていた。上流部では河畔の草がすべて刈られていた。水量も多かった。

　キャナルの上流部。河畔の草が刈られて殺風景になっていた。

　岸際の水草の上に出ている魚は見当たらなかったので、その先のかけあがりを狙ってルースニングで攻めることにした。流れにあわせて徐々に下流側に移動しながらキャストを繰り返した。良型は姿を見せなかったが、３０センチほどのトラウトがコンスタントに釣れてきた。１０匹ほど釣ったところで雨が本降りになってきた。町に戻ることにした。

　キャナルではこのサイズの魚がコンスタントに釣れた。
　このサイズでも引きは十分強い。

　夕食まではまだ少し時間があった。昨夕と同じＦ川のポイントに行ってみることにした。釣りの勘が戻ってきたためか、今度は２匹の魚をしっかりキャッチすることができた。

　Ｆ川下流で釣ったレインボートラウト。
　この位のサイズの魚が一番良く走る。

　家に戻るとマリーはすでに家に居た。今日の成績を聞くと見事優勝したとのことだった。夕食時はその話題で持ちきりだった。
　夕食後はマリーの家の裏を流れるＲ川にボートを出してイブニングを楽しむことにした。川を２００ｍほど上流に行ったところにとてもよいイブニングのポイントがあるのだ。岸沿いには入れないのでボートで行く必要がある。
　ポイントについてタックルを準備しているとライズが始まった。１６＃のＣＤＣダンを投げるとすぐにあたりがあった。５０センチほどのレインボートラウトだった。ポイントではまだ何匹もライズしていた。すばやくリリースして次の魚を狙った。
　ところが他のライズしている魚はまったくフライに反応してくれなかった。どうやら水面直下のものを捕食しているようだった。あいにくイマージャーパターンは持ち合わせていなかった。手持ちのフライでひたすらキャストを繰り返した。辺りは次第に暗さを増していった。
　「あと５キャストで終わりにしよう」
　マリーが言った。
　一番活発にライズしている魚に狙いを絞ってキャストした。４投目。フライはほとんど見えなくなっていた。フライが通過したあたりで波紋が広がった。反射的にあわせると重たい感触が伝わってきた。
　｢ラッキーフィッシュ！｣
　マリーが祝福してくれた。
　暗い中でのファイトとなった。魚の様子がよくわからないので、寄せてくるまでに少し時間がかかった。マリーのランディングネットに収まったのはコンディションのとても良いレインボートラウトだった。
　
　イブニングの最後のキャッチしたグッドコンディションのレインボートラウト。
　まさにラッキーフィッシュ