7日目午前
この日は夕方の飛行機でシアトルまで移動することになっていた。それまで何をして過ごそうか数日前から相談していたのだが、近くの港から出航して船で氷河を観光する半日ツアーがあるというのでそれに参加することにした。
ツアーの集合が7時で出発前に部屋を空ける必要もあったので、5時に起きて荷物をパッキングした。フランがいつもより早い6時15分に朝食を用意してくれた。
集合場所の港まではフランが車で送ってくれた。宿から3分もかからなかった。前夜冷え込んだので桟橋には霜が降りていた。
朝7時に港に向かった桟橋には霜が降りていた
ツアーに使う船は普段ハリバットなどの釣りに使っている小さな釣り船だった。しっかりした船室があるので快適そうだった。参加者は我々以外に地元のカップル一組だった。
参加者全員で記念撮影フランがシャッターを押してくれた
船は港を出ると速度を上げて沖へと向かっていった。この辺りは内湾なので波は穏やかだった。快晴で観光にはうってつけの日だった。移動中には海鳥やオットセイを見ることができた。１時間ほど走ると最初は遠くに見えていた雪山がだんだん近づいてきた。その後、海岸に沿って移動していくと海鳥の営巣地やトドの群れなども間近で見ることができた。トドは大きな群れだったので近づくと獣の臭いがきつかった。大自然の真っただ中にいることを実感した。
出港してしばらくすると対岸の雪山が近付いてきた
海鳥の営巣地に近づくとたくさんの鳥が一斉に飛び立った
トドの群れ鳴き声や臭いに野性を感じた
やがて前方に青白い氷の壁が見えてきた。目的の氷河だった。海面には氷塊が見られるようになってきた。春になって気温が上がったので氷河が崩れてできた氷塊だ。次第に海面を氷塊が覆いつくすようになってきた。船は速度を落として慎重に進んでいった。船体に氷塊が当たってゴンゴンと音を立てた。すべてが初めての体験だった。
遠方の山の下方に見える氷の壁が氷河だしばらく氷塊で覆われた海を進み、氷河の眺めが良いところで船が止まった。海に浮かんでいる氷をスタッフが魚を掬う網ですくって甲板のテーブルの上に広げた。一つ手に取って舐めてみると、最初は表面に着いた海水の塩分を感じたが中は真水の氷だった。
船長がキャビンからテキーラとマルゲリータリキュールを出してきた。紙コップに氷河の氷を入れ、その上からテキーラとリキュールを注いでカクテルを作ってくれた。名付けるならグレーシャーマルゲリータだろうか。青空の下で氷河を見ながら飲む氷河氷のカクテルの味は格別だった。
スタッフが網で氷をすくい上げた
氷河の氷を舐めてみる何千年前の雪が凍ったものだと思うと感慨深い
テキーラとマルゲリータリキュール登場氷河の氷でカクテル作りだ
雪山と氷河を眺めながら飲む氷河カクテルの味は最高だった
同行者三人で乾杯とても素晴らしい旅になった
氷河を眺めていると、時折氷河の先端が海に崩落するグオーンという音が響いてきた。しばらくすると崩落によって生じた波で船が上下した。その場に立ったものにしか分からないとても貴重な体験だった。
こんな景色をバックに記念撮影できるとは思ってもみなかった少しすると船はまた氷河に向けて動き出した。しばらく進むと目の前にひときわ大きな氷塊が見えてきた。水の上に顔を出している部分だけで大型バスくらいの大きさがあった。船はこの氷塊に舳先を着けて停まった。希望者は氷塊の上に乗ってよいという。船室の外側を慎重に回って舳先から氷塊に上陸？した。表面は雨の影響か思っていた以上にギザギザしていた。
船はさらに氷河を目指して進んでいく
目の前に大きな氷塊が現れた
その氷塊の上にあがって記念撮影これも一生の思い出だ
さらに進んでいくと海面を覆っていた氷がなくなり開けた海面へと出た。船長は安全に気を配りながら氷河に近い位置まで船を進めてくれた。この氷河は海面からの高さが最大60m、幅は10km以上あるという。間近に見る氷河の迫力はすさまじかった。
間近で見る氷河美しさと迫力に言葉を失う
こんな快晴の日に見ることができてラッキーだった
大自然が作り出した造形が美しい
ずっと見ていても見飽きることがなかった
氷河をバックに最後の記念撮影その後、船はゆっくりと帰途に就いた。途中、海ではアザラシやイルカの姿を見ることができた。陸では海岸に出てきた熊の姿も確認することができた。やがて船は速度を上げて出航した港へと戻っていった。12時前に港に着いた。港から宿まではのんびり歩いて戻った。
名残惜しいが時間には限りがある
浜に降りていた熊を見つけた(T氏画像）
次第に雪山が遠ざかっていった
港が見えてきた4時間の船旅はあっという間だった
港からの風景一生の思い出となる素晴らしい観光ツアーだった
