2日目
水上飛行機の出発時刻は9時だった。7時に起きて朝食を済ませ、8時にチェックアウトした。ホテルの前に停まっていたタクシーに乗って水上飛行機の発着場まで移動した。発着場まではホテルから10分ほどだった。早く着き過ぎたので事務所の中で待たせてもらった。
水上飛行機の発着場まではタクシーで移動した
飛行機会社の事務所カフェのような外観だった
搭乗したのは2人乗りの小さな水上飛行機だった。座ったのは副操縦士席だった。目の前に計器盤と操縦桿があって、自分の操縦で空を飛ぶような気分だった。飛行機は9時に発着場前の湖面から離水した。
離水後は1800mほどの高度で北に向かって進んでいった。風が強かったので時折ふらつくこともあったが乗り心地は爽快だった。ただ、雲が多かったのと窓ガラスが汚れていたので視界はそれほど良くなかった。
搭乗した水上飛行機2人乗りの小型機だった
コックピットの様子目の前の操縦桿を握りたくなった
速度を上げて離水する
前方に広がるのは北の大地だ20分ほど飛んだところで、パイロットが前方の湖を指さした。その湖に着水するらしい。奥に見える湖との間に建物が小さく見えた。飛行機は一気に高度を下げ、ほとんどショックを感じることなく湖面に着水した。
着水する湖めがけて降下していく
ロッジの桟橋に近づいていくロッジの前の桟橋ではオーナーのゴードンとスタッフたちが出迎えてくれた。まずロッジでの過ごし方について説明を受け、その後で部屋に案内された。部屋は母屋の2階の湖側で、ベッドが3つありトイレが付いていた。母屋の1階には食堂、キッチン、リビング、バーとバスルームがあった。食事は朝食が8時で夕食は18時30分、バーの飲み物は自分で飲んだ物の名前と数量をノートに記帳してチェックアウト時に精算するシステムだった。母屋の外にはホットタブ(露天風呂)もあった。
イエロードッグロッジの全景（別の日に撮影）
母屋の2階の客室に宿泊した
部屋には3つのベッドとトイレが付いていた
リビングルーム薪ストーブには火が入っていた
食堂
キッチン
バーコーナー利用はセルフサービスだった
母屋の裏には露天風呂もあったこのロッジは二つの湖に面して建っている。水上飛行機が着いた湖がグラハムレイクで、もう一つの湖がダンカンレイクだ。グラハムレイクは8×3㎞ほどの大きさで、ダンカンレイクはそれより大きい22×6kmほどある。グラハムレイクとダンカンレイクはロッジの横の水路で繋がっていて、グラハムレイクの方がダンカンレイクより1mくらい湖面が高いため、グラハムレイクからダンカンレイクへ水が流れ込んでいる。
手早く釣り支度を整え、釣りのライセンスを購入してダンカンレイクの桟橋でボートに乗り込んだ。時刻は10時30分だった。
ダンカンレイクの桟橋
釣りに出発する一番わくわくする瞬間だ
今回の釣行ではアランが毎日ガイドしてくれた。若くて陽気で前向きな男だった。彼の説明によるとレイクトラウトの浅場への移動が今年は遅れていて、魚はまだ深場でしか釣れないだろうとのことだった。いきなり想定が違ってしまったが海外釣行ではよくあることだ。とにかくレイクトラウトをキャッチしたかったので、アランの勧める釣り方で狙うことにした。
最初に湖の中央部にある島の周辺でソフトルアーを使ったジギングをした。この日は風が強く、その影響で湖面が波立っていた。そのため軽いジグでは底が取りにくくて釣りづらかった。また、ボートの操船もやりくい状況だったので20分ほどで見切りをつけた。釣りやすい風裏となる場所に移動することにした。
ジギングに使用したソフトルアー最初のポイントは波が高くて釣りにならなかった
次のポイントではトローリングで釣ることにした。ラインの先に重たい錘を2個取り付け、その先にリーダーを1.5mほど結んだ。ルアーはアランお薦めのフラットフィッシュタイプを使った。水深20～30mの湖底付近をルアーが通るようにラインの長さを調整して、湖岸と平行にゆっくりとボートを走らせた。
湖底近くまでルアーを沈めてトローリングする
トローリングに使用した錘3オンスの物を二つ付けた
アランお勧めのフラットフィッシュタイプのルアー（手前のメモリの単位はインチ）
湖岸の木々は美しく色づいていた釣り始めて10分ほどで最初のアタリがあった。早合わせするなとアランから言われていたので、魚の重みを十分感じてからロッドをあおってフッキングし、リールを巻き始めた。ロッドには魚の手ごたえが重たく伝わってきた。ラインが残り3mくらいになると魚の姿が見えた。大物ではなかったがそう小さくもなかった。魚が湖面に現れた瞬間、アランが大きなネットでランディングした。最初に手にしたのは65cmのレイクトラウトだった。この湖の標準的なサイズらしい。もっと筋肉質の魚を想像していたが、肉付きの良い柔らかな魚体が印象的だった。
初めて釣ったレイクトラウト出会えて嬉しかった
その後も同じ場所でトローリングを続けた。アランが魚探で魚を探しながらボートを流してくれたので、アタリは多かった。ただ、魚の活性が低いのかアタリがあってもフッキングしなかったり、フッキングしてリールを巻き始めても途中で外れてしまったりすることが多かった。巻き始めや巻いている最中に追い合わせをしてしっかりフックセットしようと試みるのだが、ラインが長く出ているのと、仕掛けの途中に重たい錘があるためか、なかなかうまく追い合わせが決まらなかった。それでも13時過ぎまでこの場所で釣りをして5匹のレイクトラウトをキャッチすることができた。サイズはいずれも最初の魚と同じくらいだった。
レイクトラウトとのファイトシーンバレやすいので慎重にやり取りした
2匹目のレイクトラウト大きさは一匹目と同じくらいだった
コンスタントに釣れてアランも嬉しそうだ昼食はボートの上でサンドイッチを頬張った。ごく普通のサンドイッチだったが釣り場で食べるとおいしく感じた。昼食後は魚が入ってきていないか浅場を見て回ったが、どこにも魚の気配はなかった。夕方近くなり風が少し弱くなってきたので、朝一番で入った湖の中央部の島周りに移動してトローリングを再開した。期待していたほど良い状況ではなく、数回アタリがあって１匹キャッチできただけだった。その後はロッジ前のワンドでパイクを狙ってルアーをキャストしてみた。1回だけパイクが目の前までルアーをチェイスしてきたがフッキングには至らなかった。出発前から風邪気味で体調が万全ではなかったので17時前にロッジに戻った。
昼食はサンドイッチだ
午後は島周りのポイントを狙った
そのポイントで釣ったレイクトラウトシビアな状況でキャッチできたので喜びが大きかった
夕食はビュッフェスタイルだった。この日のメニューはステーキとシーザーサラダだった。豪華ではないがシェフのデニスの心のこもったおいしい料理だった。
ステーキとシーザーサラダ丁寧に作られたおいしい料理だった
アランから岸からレイクトラウトが釣れる可能性があると聞いていたので、夕食後にグラハムレイクの流れ出しに設けられた釣り用の桟橋で竿を出した。クルージングしている魚が何匹も見えたが、暗くなるまで粘っても魚の反応は1回もなかった。
夕暮れの湖面
グラハムレイクの流れ出しに設けられた釣り用の桟橋ここで暗くなるまで粘ったが反応はなかった
空一面に雲が広がっていて、オーロラは見えそうになかった。この日は早めに就寝した。夜中も目が覚めるたびに窓から外を見てオーロラが出ていないか確認したが空は雲に覆われたままだった。
