5日目
いよいよ実釣最終日だ。この日も晴天だったが、風は昨日より強まっていた。朝食をとりながらアランと相談して、午前中はパイクレイクで釣り、午後は状況が好転していればダンカンレイクで竿を出すことにした。レイクトラウトのキャスティングの釣りに未練は残るが安全を優先した。
朝の風景前日より風が強かった
出発前にアランと記念撮影彼にはとても世話になった
この日も9時に出発した。ダンカンレイクの波は昨日より高くなっていた。波の影響を避けるようにアランが巧みにボートを操り、昨日より時間をかけて慎重に湖を横断した。
慎重にボートを操るアラン波が高くて操船に苦労していた
パイクレイクは風の影響は受けていなかった。最初に昨日の夕方よく釣れたポイントで竿を出した。すぐにこの日最初のパイクが釣れた。72cmとまずまずのサイズだった。その後も立て続けに2匹釣れた。魚の活性が高そうだったのでフライをポッパーに変えてみた。パイクはポッパーで釣ったほうが断然面白いと釣り仲間が強調していたからだ。しかしポッパーに変えた途端に魚の反応が全くなくなってしまった。フライのサイズが小さいせいか、アクションの付け方が悪いのか、時期的なものか、理由は不明だが、30分ほどキャストし続けてもアタックすらなかった。フライをストリーマーに戻すとすぐにパイクが釣れた。ポッパーでパイクを狙うのは僕にはとても難しかった。
林の先に見えるパイクレイク風の影響はなさそうだ
この日最初のパイクまずますのサイズだった
優しく湖に戻す
ポッパーで釣ってみる残念ながら反応はなかった
ストリーマーに戻すとすぐ釣れた(笑)魚が多い湖とはいえ、同じポイントで釣り続けていると次第に反応が悪くなってくる。そこで移動しながらいろいろなポイントで釣ることにした。
水深1m足らずの浅い場所で釣っていた時のことだ。アランが釣ったパイクをリリースしたところ、その魚がボートのすぐ近くの水草の根元に身を潜めるのが見えた。そこで冗談半分で魚の目の前にフライを投げてみたところ、なんとリリースしたばかりの魚がフライに飛びついてきた。これにはアランと二人で驚き、なんて貪欲な魚なんだと笑いあった。
アランがルアーで釣ったパイク
リリースするとボートのすぐそばの水草の根元に身を潜めた
2度目のリリース今度は慌てて遠くへ泳いで行った
岸際のポイントの反応が芳しくなくなってきたので、ルアーで湖の中央部を狙ってみることにした。パイクレイクは浅い湖だが、それでも中央部は3m近い水深がある。昨日の午前中に良型魚を釣ったのはそうした水深のある場所だったし、昨日の午後アランの投げたルアーをおそらく同じ良型魚が2度チェイスしてきたことがあったのも湖の中央部だった。
ボートを流しながらルアーを投げ続けていると、昨日アランのルアーを良型魚がチェイスしてきたエリアにやってきた。アランの目つきが真剣になった。数分後、「あいつをかけたぞ」とアランが大声で叫んだ。振り向くとアランのロッドがとても大きく曲がっていた。ファイトには時間がかかった。数分後、ボート際に寄ってきた魚は巨大だった。魚は最後まで抵抗し続けたが、僕が差し出したネットにアランが魚を誘導した。魚の入ったネットを一人で持ち上げるのが難しいほど重たかった。体長は113㎝あった。この湖でこんな大物が釣れるなんて信じられないとアランが狂喜した。
大物を釣って嬉しそうなアラン体長は113cmあった
普通なら目の前でガイドに大物を釣られたらゲストは気分を害するだろう。だが僕にはそんな気持ちは全く起きなかった。昨日アランがこの魚を2度釣り損なった時から、この魚は彼の魚なのだろうと感じていた。アランが喜ぶ姿を見ているのが嬉しかった。少し早いがボートを岸に停めて昼食にした。アランは僕のデジカメで撮影した魚を抱いた自分の画像を何度も眺めて嬉しそうだった。
昼食のサンドイッチ朝夕食と比べて昼食は簡素だ
昼食後は昨日反応の良かったライトニングウォブラーを遠投して湖の中央部を重点的に狙うことにした。遠くから狙うことで魚の警戒心を低減する作戦だ。ライトニングウォブラーは飛距離も素晴らしかった。この作戦が見事に的中した。キャストする度にアタリがあった。3匹目にヒットした魚はこれまでの魚とは比べ物にならないほど引きが強かった。アランは水草でも絡まったんじゃないかと言ったが、僕はかなりの良型だと感じていた。ドラグを少し弱めて時間をかけて魚を寄せた。魚体を見たアランが「こいつもでかいぞ」と叫んだ。アランの差し出したネットに魚を慎重に誘導した。ネットに収まったのは体長110㎝、体重はアランの推定で30ポンドの大型魚だった。魚の体力をゆっくり回復させてからリリースし、アランとがっちりと握手した。
昼食後はルアーを遠投して釣ったK氏お薦めのライトニングウォブラーが大活躍だ
110cmの大物ずっしりと重かった
やっとのことで持ち上げた
この野性的な表情がたまらない
ゆっくり体力を回復させてリリースしたサプライズはこれで終わりではなかった。次のキャストも着水直後に魚がヒットした。かかった魚は大きそうだった。今リリースした魚がまたヒットしたのかと思った。それほど引きの強さがよく似ていた。ボートに寄ってきた魚体を見てアランと二人で驚いた。さきほどの魚より明らかに大きかったのだ。「何が起こってるんだ。信じられないぜ！」とアランが嬉しそうに叫んだ。ボート際まで寄ってきた魚は何回も激しく抵抗したがロッドワークで魚の動きを制御した。魚を収めたネットは二人で持ち上げる必要があるほど重かった。この魚は体長115cm、体重はアランの推定で35ポンドある超大物だった。この魚をランディングした際、ラインがネットに絡まってルアーロッドを折ってしまったが、そんなショックも吹き飛んでしまう嬉しさだった。
次にヒットした魚は115cmもあった
魚とは思えない顔つきだ
釣れてくれてありがとう礼を言って湖に戻した
歯形のついたルアー僕の勲章だ
ロッドを折ってしまった最終日だったのが不幸中の幸いだ
その後フライで岸際を釣ってみたが反応はなかった。集中力が薄らいでいるのが自分でもわかった。パイクレイクでの釣りを終えることにした。この日の釣果はメーターオーバー2匹を含む10匹だった。ダンカンレイクに戻ってレイクトラウトを狙うことにした。
パイクレイクでの釣りを終える有終の美を飾ることができた
ボートを岸に係留して帰り支度をするアランも満足そうだった
15時に戻ってきたダンカンレイクは相変わらずの強風と高波だった。湖を横断する際、波でボートの舳先が跳ね上げられるのを防ぐためボートの最前部に座った。舳先のロープをしっかり握っていないと身体が跳ね上がりそうだった。「まるでロデオだなぁ」とアランが操船しながら笑った。腕は疲れたがスリリングで楽しい体験だった。
ボートの舳先に座って湖を横断する握りしめたロープで身体を支えた
強い風と波のせいでトローリングができる場所も限定された。ロッジ近くの風裏で波が弱い場所で2時間ほどトローリングを続けたが魚の反応は全くなかった。少し早めだったが17時前に釣りを終えた。ロッジに戻りバーの冷蔵庫に直行してビールを取り出し、湖を見ながら飲んだ。最高においしいビールだった。
風裏のポイントでトローリングをする残念ながら反応はなかった
ロッジに戻って飲んだビール最高に旨かった！
この日も夕食後はダンカンレイクの流れ込みで釣りをした。魚の活性が高まるのは20時30分前後の短い時間帯だけだったが、その時間帯に2匹のレイクトラウトをキャッチすることができた。4日間トータルのレイクトラウトの釣果はトローリングで11匹、キャスティングで7匹だった。
ダンカンレイクの夕暮れ
暗くなってから釣れたレイクトラウト婚姻色が出始めているようだ
釣りの後はホットタブに浸かってオーロラをゆっくり眺めた。前2日と比べると光り方や動きがおとなしい感じだったが、それでも十分美しく感動的だった。
この日のオーロラ3日も見ることができて幸運だった
