６日目
あっという間に実釣の最終日となってしまった。この日も６時に起きて７時に朝食を摂り、８時にロッジを出発した。この日は２日目に釣ったエリアを中心に３日目の朝釣った場所までを釣ることにした。
この朝もボートを組み立てている間にフライフィッシングを楽しんだ。魚の着き場がだいぶ分かってきたので効率よく魚の顔を見ることができた。モンゴルで釣りをするのも最後だと思うと、釣れてくる一匹一匹がとても愛おしく思えた。
フライで釣れた４０ｃｍ程のレノックフライでレノックだけ狙っても楽しい釣り場だと思う
ルアーでのタイメン狙いはこの日も僕だけ不調だったが、そのことはあまり気にならなかった。この風景の中で釣りをしていられるだけで幸せな気分だった。昼食前も他のメンバーはタイメンを狙っていたが、僕は岸際の流れで少し型の良いグレイリングを狙って楽しい時間を過ごすことができた。
釣り場風景この景色の中にいられるだけで幸せだった
良型のタイメンをキャッチしたＦ氏
グレイリング宝石のように美しいと言ったら大げさだろうか
昼食後はペトロがタイメンの好ポイントに案内してくれた。ルアーも実績のある小型のミノーを貸してくれた。彼としてはやはりルアーでタイメンを釣ってもらいたいようだった。
ペトロが案内してくれたのは流れが比較的緩やかな１００ｍ以上続くトロ瀬だった。上流部から丁寧にキャストを繰り返しながらゆっくり釣り下っていった。ポイントを３分の２ほど釣り下った時にアタリがあった。いくつか大きな底石のある場所だったので、それらにラインを巻かれないように気をつけてファイトした。キャッチしたのは６０ｃｍオーバーのタイメンだった。僕以上にペトロが喜んでいた。
６０ｃｍオーバーのタイメンペトロのおかげでキャッチできた
タイメンの横顔ちょっとふてぶてしい顔つきが好きだ
タイメンを釣ったポイント広いポイントを丁寧に釣って結果を出した
今回の釣行のクライマックスはこの日の釣りの終わりにやってきた。この日最後に釣ったポイントは前日朝一番で釣りをした大きなプールだった。前日にここでタイメンをキャッチしていたＩ氏が、前日釣れたポイントをルアー替えながら攻め続けて最後に良型のタイメンをキャッチしたのだ。そのタイメンは９２ｃｍあり、太さはロッジの写真で見たメーターオーバーの魚達を凌ぐほどだった。皆で我が事のように喜び、満足のうちに釣りを終えることができた。
Ｉ氏がキャッチした９２ｃｍのタイメン最後の最後に結果を出す辺りはさすがだ
この日は朝から雲が多かったが、釣り場で帰り支度を始める頃には雨が降り出してきた。改めてこの４日間天候に恵まれたことをありがたく思った。雨の中を２時間かけてロッジへと戻った。
釣りが終わると雨が降ってきたあと５分ほどでロッジに着くという頃になって雨が上がった。すると夕日に照らされた空に大きな虹が架かった。とてもはっきり見える虹だった。その虹はモンゴルの平原の上に端から端まで完璧な姿を現してくれていた。車を停めて車外に出て皆で虹を眺めた。こんない美しい虹を見たのは生まれて初めてだ。神々しささえ覚えるほどの素晴らしい虹だった。この虹を見ることができただけで、ここへ来た価値は十分あったと心の底から思えた。
モンゴルの空に出た虹こんなに美しい虹を見たのは初めてだ
地表近くまでくっきりと見えている
まるで絵画のような風景だと、ここまでは順調な釣行だったのだが、夕食を終えるころから体調が思わしくなくなってきた。人より胃腸は強い方だと自覚しており、海外旅行先で胃腸を壊したことなど記憶にないのだが、強い胃の痛みと下痢に見舞われてしまった。不調の原因の心当たりはあった。この日の釣りの帰りに遊牧民のゲルで彼らの地酒であるアルヒをもらって何杯か飲んだのだ。これがいけなかったようだ。もっとも同行者は大丈夫だったので、釣りの疲れや前日までの食べ過ぎと飲み過ぎも重なったせいかもしれない。最後の夜は青息吐息でベッドに横たわって過ごすこととなってしまった。
釣りを終えてロッジでスタッフも交えて乾杯この後で体調を崩してしまった
