2日目午後
昼食を終えてすぐ仕掛けの準備を始めた。大型のリールに100ポンドのナイロンラインを巻き、ラインの先にはスイベルを介して200ポンドのザクロンを1.5mほど結んだ。フックはオーナーのロングシャンクフックを使用した。さらに大型のトレブルフックをアシストフックに使った仕掛けも準備した。今までに使ったことのない超大物用の仕掛けだった。これも想定しうる最大サイズのグーンシュに対応できるようにするためだった。
グーンシュ釣りのタックル今回は森氏に借りた
大型の両軸リールラインは100ポンドを200mほど巻いてある
フックとリーダーフックはオーナーのロングシャンクフック
リーダーはシーブレイドの200ポンドを使用した
餌のサイズが大きい時はアシストフックにオーナーのSTX-58を使った
今回は一人２本ずつ合計6本の竿を出すことにしていた。仕掛けができると普段漁師をしているスタッフがフックに餌を取りつけた。餌には生きた魚を使った。この地域の漁師は生きた餌でないとグーンシュは釣れないと考えている。餌に使う魚は投網で獲ったパンカシという魚や養魚場から買ってきたコイが使われていた。魚の背に魚を弱らせないようにフックを刺し、さらに魚の上顎に通した糸をリーダーにくくりつけて魚の姿勢を整えて魚が弱らないように配慮していた。餌付けが終わると捨て錘としてタコ糸で縛った河原の石をスイベルに結んで仕掛けが完成した。
生き餌をフックにセットするスタッフ餌は養魚場から買ってきたコイか投網でとったパンカシ等の魚を使った
こちらがパンカシ藻を食べている魚なので釣るのは難しい
捨て錘は河原の石をタコ糸で縛って利用した仕掛けはカヤックを使って川の中央部まで運んで投入した。そしてラインをしっかり張ってロッドを河原に固定した。その際、魚がかかった時にロッドが川に引きずり込まれないようにロッドをロープで大きな石に繋いだ。ラインに無線式のセンサーを取り付け、アタリがあったら受信機のアラームが鳴るようにセットした。6本のロッドを投入し終えるのに30分ほどかかった。
仕掛けはカヤックで川の中央部まで運んだ
仕掛けを投入する場所は慎重に選んでいた
あとはアラームが鳴るのを待つだけだ
キャンプサイト前から上流方向に6本の竿をセットした仕掛けの投入が終わると後はアタリを待つだけだ。椅子に座ってただ待っているのは退屈なのでライトタックルで釣りをすることにした。下流の河原でミミズを餌にしたぶっこみ釣りをやってみた。流れが強くて手持ちの錘では流されてしまうのでここでも凧糸で縛った石を錘に使った。
グーンシュのアタリを待つ間はミミズを餌にしてライトタックルでぶっこみ釣りをした投入してすぐにアタリがあった。上げると15cmほどの小さなナマズが針に掛かっていた。シガニという魚だと教えてもらった。海外釣行でのファーストフィッシュは魚種やサイズを問わず嬉しいものだ。
すぐに小さなナマズが釣れた
現地名はシガニだ
海外釣行の1匹目はとにかく嬉しい再度仕掛けを投入するとまたすぐにアタリがあった。使っている仕掛けは2本針だ。すぐには上げず２匹掛けを狙った。しばらく待ってから仕掛けを上げると狙い通り2匹の魚が付いていた。
手伝ってくれていたスタッフと二人で喜んでいた時アクシデントに見舞われた。砂でできた崖の縁に立っていたので足元の砂が崩れて二人とも川まで2mほどずり落ちてしまったのだ。お互い怪我はなかったがもう少し慎重に行動しなければと自制した。
一荷で釣れて喜んでいたら足元の砂が崩れて川まで落ちた（K氏撮影）
それでも魚は逃がさなかった
K氏もシガニをキャッチしたその後もキャンプの下流で釣りを続けていると森氏からI氏のロッドのアラームが鳴ったと連絡があった。砂浜をダッシュしてI氏のロッドがセットされているキャンプサイトの上流に向かった。先に到着していたI氏がロッドを手にリールを巻き始めていた。ラインは川の下流に延びていたが大きく引き込まれているような状態ではなかった。捨て錘がまだ付いたままだったのでロッドからは魚の抵抗を感じることができなかった。I氏は半信半疑でリールを巻いていた。
I氏のロッドのアラームが鳴ったファイトを始めるI氏
ギャラリーが集まってきた少しして捨て錘が外れた。するとロッドの動きが変わった。魚の抵抗がはっきり伝わってきた。I氏は少し緊張した面持ちでラインを巻き取っていた。残り１０mほどになったところでI氏が後ずさりして魚を岸に寄せた。スタッフがラインを手繰って魚を岸に引き上げた。灰褐色の大きな魚が姿を現した。グーンシュだ。I氏が歓声を上げた。スタッフみんなで喜び合った。
魚がかかっているのを確信して表情が引き締まった
釣れたのはグーンシュだった釣り開始4時間で目標達成だ
釣れたのは体長124cm推定体重10kgの中型の個体だった。怪魚と呼ぶのにふさわしい容貌をしていた。みんなで写真をたくさん撮った。そして静かに流れに戻した。
グーンシュ体長124㎝、推定体重10㎏の良型だ
魚を抱いて記念撮影
横に張り出したヒゲと胸鰭が特徴的だ
口には鋭い歯が生えている
3人で記念撮影
森氏も嬉しそうだ
静かに川に帰っていった釣りを始めてまだ4時間。こんなに早くグーンシュに出会えるとは思っていなかった。目標が達成できてほっとした気持ちになった。
その後は特にアタリもなく時間だけが過ぎていった。ルアーも投げてみたが反応は全くなかった。
その後もシガニはコンスタントに釣れた
上流でルアーを投げたが反応はなかった
グーンシュが釣れた実績のあるスプーンを使ったが不発だった日没が近づいてきた。グーンシュは夜になると活発に餌をとると言われている。全ての仕掛けを点検して餌を付け替えて夜通し釣りをする体制を整えた。
夕方になって仕掛けのチェックをするスタッフ達グーンシュの釣りは昼夜を問わず続けられた
夕食は19時過ぎにとった。グーンシュが釣れたらお祝いに飲もうと思ってスワンアブーム空港で買ったシャンパンのミニボトルを開けた。みんな陽気だった。
乾杯用のシャンパンを川で冷やした
餌に使ったコイの素揚げグーンシュが食べなかった魚は我々がおいしく食べた
チキンカレーこのカレーが食べたくてネパールを再訪したと言っても過言ではない
夕食後はアラームが鳴ったらいつでも対応できるよう支度を整えて就寝した。
