２００４年ＮＺ釣行記（７）

７日目

　この日は今年初めてマリーのガイドで釣りをする日である。ダンも優秀なガイドだが、やはり気心の知れたマリーのガイドの方がなんとなく落ち着く。前日マリーとＹ氏、Ｆ氏が非常に良い思いをしたロトルアの湖に出かけることにした。
　湖の釣りには雨天や曇天が向いている。ところが皮肉なことにこの日は朝から次第に天気が良くなってきた。ロトルアの街に着いた頃にはすっかり晴天となっていた。
　釣り場はクリークが流れ込む遠浅のワンド。岸辺は芝地で家が湖岸のすぐ近くに建っている。なんとものどかで風景の素晴らしい場所だった。

　とても美しい湖畔。湖のすぐそばに家が建っている。
　湖の釣りには天気が良すぎる。

　釣り方はフローティングラインの先にスメルトのパターンを結んで表層をリトリーブするものである。５０ｍほど沖に立ち込んでも水深は腰くらいまでだった。数名の釣り人がキャストを繰り返していたので、邪魔にならぬよう一番端に入り釣り始めた。
　しばらく投げ続けていたがアタリがない。多少飽きてきたので沖に向かってキャストするのをやめ、岸際の灌木の近くを攻めてみることにした。すると、数投目でラインをたぐる手にひったくるような感触があった。ロッドを動かさずに左手でもう一度ラインをたぐりフックセットし、魚の重さを感じてからロッドを絞ってしっかりとフッキングさせた。　この湖のレインボートラウトはフッキングした直後に走ると聞いていたのでその心づもりでいたのだが、この魚は走る気配を見せない。頭を下げて潜ろう潜ろうとしていた。その力はとても強く、３Ｘのティペットでも無理はできなかった。１５ヤードほどの距離で魚との持久戦となった。マリーもすぐにサポートにきてくれたが、無理をするなという他はない。ゆっくりと時間をかけてラインをリールに巻き取っていった。

　マリーの指示を聞きながらｖ必死で魚と格闘した。
　ネットに納めるまでにはまだ時間が必要だった。

　リーダーだけの距離になってやっと魚体が見えてきた。水中で黄金に輝く魚体はあきらかにレインボートラウトではなかった。さらにリーダーを巻き取ったが魚は我々の周囲をグルグルと泳ぎ回り弱ったそぶりは見せなかった。ロッドを立てて何回か空気を吸わせ、やっとのことでマリーがネットに追い込んだ。フッキングしてから２０分近く経っていた。
　その魚は背の盛り上がった惚れ惚れとするようなブラウントラウトだった。体長６３センチ、重さもマリーが１０ポンドはあるだろうと言ってくれた。この湖で真っ昼間にブラウントラウトが釣れるのは珍しいことらしい。マリーも興奮していた。

　この素晴らしい魚体と堂々とした風貌！　さすがに興奮した。

　魚の重たさが心地よい。自然と口元が緩む。

　この後、日が高くなってきたので湖を離れ、スプリングクリークを遡行してみたが魚影は見あたらなかった。夕方、再び朝のポイントに戻り、同じ釣り方でレインボートラウトを１匹キャッチした。この時は隣で釣っていたマリーも同時に魚を掛け、ダブルヒットとなった。　

　マリーとダブルヒット。湖の釣りも悪くないものだ。

　朝の１匹だけで十分に満足できる１日だった。