３日目午前
前日の雨は夜になっても止まず、むしろ時折激しさを増して夜明け近くまで降り続いた。それでも、あたりが明るくなる頃には雨音が聞こえなくなり、６時半に起床すると青空が見え始めていた。
朝の風景激しく降っていた雨もようやく上がった
今回のパラオ釣行もこの日が最終日だった。この日はフライタックルを持たず、ルアータックルだけで釣りをすることに決めた。せっかくパラオまで来たのだから、不慣れではあるがヘビータックルでＧＴなどの大物を狙ってみたくなったのだ。タックルは三浦氏に、ルアーはＥ氏に借りることにした。
この日も朝食はホテルのレストランでとった。初日にＧＴをキャッチしたＥ氏にあやかり、初日にＥ氏が注文していたコンチネンタルブレックファストを注文した。
コンチネンタルブレックファスト大物狙いの験担ぎだ
８時過ぎに迎えの車に乗り港に向かった。この日はＫ氏と一緒にエリックの船に乗った。エリックの相棒のゴードンも助っ人として乗船してくれた。Ｋ氏は大学卒業の記念に今回のパラオ釣行に参加していた。彼の今回の釣行の一番の目的はＧＴをキャッチすることだったが、残念ながら前日までキャッチできずにいた。そんな状況をエリックも知っていたので、この日は何としても我々にＧＴを釣らせようと考えてくれていたのだ。
出発前に記念撮影３人のガイドにはとても世話になった
この日はハードタックルの釣りに専念できるので、アウターリーフまで遠征することになった。風は前日より少し収まってきていた。
アウターリーフに向かっている途中で、エリックがベイトボールを見つけた。ベイトボールの下には大物がいるはずだ。舳先に陣取っていたＫ氏がエリックの指示した方向へルアーを投げた。大きくアクションをつけながらルアーを引いてくると、ルアーの後方から大きく飛沫が上がった。次の瞬間ロッドが絞り込まれた。エリックの指示に従ってしっかり食い込ませてからあわせを入れた。
フッキングした魚は激しく抵抗したが、Ｋ氏が巧みなロッドワークで船縁まで寄せ、エリックが大型ネットでランディングした。釣れたのは本命のＧＴではなかったが良型のバラフエダイだった。Ｋ氏が満面の笑みでガッツポーズをとった。
ベイトボールにキャストしてかけた魚をランディングするＫ氏にとって初の大型魚だ
Ｋ氏のガッツポーズ見ているこちらまで嬉しくなってきた
良型のバラフエダイを持って記念撮影さらに船を１５分ほど走らせてアウターリーフの大物の実績のあるエリアに着いた。外洋側からリーフに向かってキャストするので、波は比較的穏やかだったが、舳先に立つと身体がかなり上下した。
アウターリーフに向けて船を走らせる海の美しさは何物にも例えようがない
最初にＫ氏が舳先に立ってＧＴを狙った。１５分くらいキャストを続けていると、Ｋ氏のルアーに大型魚のアタックがあった。先ほどのキャッチであわせのタイミングを心得ていたＫ氏は慌てずに一呼吸おいてからガッチリとあわせた。
揺れる船上でのファイトは難しそうだったが、背後からエリックがアドバイスを送りＫ氏もそれに応えて魚を上手にコントロールしながら寄せてきた。水面に姿を表した魚体は銀色に輝いていた。ＧＴだ。最後まで慎重に魚を操ってエリックの差し出したネットに魚を誘導した。ネットインした瞬間、Ｋ氏の嬉しそうな声が船上に響いた。
良型魚とファイトするＫ氏先ほどのキャッチで少し落ち着けているようだった
ネットインの瞬間
無事にＧＴをキャッチして安堵するＫ氏彼はこの魚に出会うためにパラオまで来たのだ
ＧＴを膝に乗せて記念撮影ルアーマンが憧れるシーンだ
僕はこの一部始終をデジカメで撮影していたのだが、揺れる船上で撮影に夢中になり過ぎていて少し船酔い気味になってしまった。釣りをしていれば治まるかもしれないと思い、キャストを続けたが、気分の悪さが気になって釣りに集中できなかった。チェイスが二度ほどあり、そのうちの一度はルアーに触った感触が伝わってきたがフッキングには至らなかった。
これ以上気分が悪くなったらいけないと思い、エリックに事情を伝えた。するとエリックは船を波裏になるリーフエッジまで移動してくれた。だが、そこでただ休憩する訳ではなかった。そこはリーフから３０ｍくらいの地点で水深が８０ｍ近くある、急なかけ上がりになっている場所だった。このエリアでジギングで底物を狙うことにした。まずはゴードンが手本を見せてくれた。
すると、すぐにアタリがあった。ゴードンがしっかりフッキングして慎重に巻きあげていると、途中で魚の抵抗が無くなったようだった。上げてみると針には魚の頭部しか付いていなかった。サメにやられたのだ。良型のオオクチイシチビキだっただけにもったいなかった。
サメにやられたオオクチイシチビキの頭部無傷で上がっていれば８０ｃｍくらいの大物だったはずだ
ゴードンに竿を借りて僕もジギングに初挑戦した。底は取れたが、しゃくり方の感覚が今一つ掴めなかった。１５分ほど釣り続けたがアタリはなかった。
そんな時、エリックが船から少し離れた場所に鳥山を見つけた。ジギングの仕掛けを急いで上げ、鳥山へ向かった。ルアーを鳥山に向かって投げ、引き始めるとすぐにアタックがあった。向こう合わせでフッキングした魚はそれほど大きくない感じだった。寄せてみると４０ｃｍほどのスマガツオだった。砲弾型の銀色の魚体が美しかった。鳥山はまだ射程範囲だったので、写真撮影は後にして、再度ルアーを投げた。するとすぐに魚がルアーにアタックしてきた。今度の魚の方が手ごたえが大きかった。２匹目は５０ｃｍオーバーのスマガツオだった。タックルサイズの割には小さめの魚だったが、キャスティングで釣れてとても嬉しかった。
スマガツオキャスティングで釣れて嬉しかった
昼になったので先ほどジギングをしていた波の静かなエリアに船を移動して、船上で昼食をとることにした。僕もできるだけ食べようと思ったが、さすがにあまり入らなかった。それでも冷たいレモンティーを飲んだりしていると気分はだいぶ良くなってきた。
この日の昼食船酔い気味で食が進まなかった
