６日目（釣り最終日）
海外釣行に出かける度に思うことだが、楽しい時間はあっという間に過ぎてしまう。この川で釣りができるのもこの日が最後になってしまった。まだ釣っていない良型のミキージャとメスのガルブッシャ、それとケタをキャッチすることを決意して最終日の釣りに臨んだ。
この日は３台のボートで釣りに出ることになった。結局当初の約束通り４台のボートで釣りができたのは初日だけだった。しかし、今更そんな話を持ち出しても仕方ないので、与えられた状況の下で結果を出してやろうと考えた。
最終日の釣りに出発するこの日はＨ氏が同船した
朝一番で入ったのは毎日のように竿を出しているコーナーの釣り場だった。やはりここが一番魚影の濃い場所だった。最初にサーモンを狙ったが、まだ遡上の群が釣り場に入ってきていないのか反応がなかった。
そこでミキージャに狙いを変えることにした。ビーズのシステムを手にコーナーの上流部の流れに立ち込んだ。
これまでの自分自身の経験やミキージャをキャッチした同行者の話から、ミキージャが釣れる場所はガリエツの反応が薄い場所や、水草が多く繁茂している場所だと考えた。ガリエツが多い場所ではミキージャはガリエツに邪魔をされてフライにアタックできないようだった。
そこでガリエツの反応と川底の様子を見ながら移動し、ガリエツの反応が薄く水草の多い場所を探した。条件に合致する場所では水草の際にビーズを丹念に流し込んで反応を探った。
釣り始めて１５分くらいした時、マーカーにしっかりしたアタリが出た。あわせると重くスピーディーな反応が伝わってきた。ファイトの仕方がガリエツとは違う印象だった。ミキージャかもしれないと思った。少しして水中に幅広の魚体が見えた。ミキージャに違いないと確信した。ロッドを持つ手に思わず力が入った。
時間をかけ慎重に寄せてランディングした。ネットに収まったのは良型のミキージャだった。自分の得意な釣り方と自分で組み立てたポイント選びで結果を出すことができてとても嬉しかった。まさに会心の一尾だった。
ゆっくり撮影できる中州まで移動して写真を撮った。少し離れた場所で釣りをしていたH氏が釣りを中断して快くカメラマンを引き受けてくれた。Ｈ氏が自分のことのように喜んでくれたのも凄く嬉しかった。撮影時に体長を計ると、ちょうど５０ｃｍあった。今回の釣行の大きな目標が達成できて肩の荷が下りた気持ちになった。
自分の釣り方でキャッチした良型のミキージャ会心の一尾だ
撮影してもらいながら達成感と安堵感を感じていた
時間をかけて体力を回復させてからリリースした次の狙いをまだ釣っていないメスのガルブッシャとケタに定め、初日と三日目にオスのガルブッシャを釣った実績の高いポイントを攻めることにした。フライはアラスカのガイドからもらったイントルーダータイプのものをチョイスした。
この日はアタリの回数が明らかに多かった。活性の高い群がポイントに入ってきていたのとフライパターンがマッチしたのが主な理由だろうが、釣り方が少し上手くなったことも一因ではないかと思えて嬉しかった。
最初にオスのガルブッシャが何匹か釣れたあと、ぜひとも釣りたかったメスのガルブッシャをキャッチすることができた。オスに比べると優しい顔つきだった。
メスのガルブッシャオスに比べて優しい顔つきをしている
このポイントは足元が深くなっていたので、ロッドティップを水中に深く入れてフライがトップガイドに当たるまでリトリーブしていると、フライの直後を魚が追ってきているのが見えることもよくあった。そんな時にフライをトップガイドに当てた状態で、ロッドアクションでフライを動かして誘いをかけるとバイトしてくることが何回もあった。目前で大きな魚がフライを加える瞬間を目撃できてとてもエキサイティングだった。
オスのガルブッシャ遡上魚の力強さがみなぎった表情をしている
オスは一匹ずつ体型が異なっているこの魚は体高がものすごく高かった
たまにはスレ掛かりしてしまうこともある残念ながらケタはヒットしなかったが、２時間ほどで１０匹のガルブッシャをキャッチすることができた。最後に釣れたオスは今回の釣行の最大魚で７０ｃｍあった。
今回の釣行の最大魚ずっしりと重かった
写真を撮った後は手早くリリースする彼らには子孫を残す大仕事がまだ残っている
たくさんガルブッシャを釣ったポイントうまくポイントに合った釣り方ができた
僕より下流のポイントでY氏がキャッチしたメスのケタ昼食後は上流部の瀬に移動した。ここではガリエツの数釣りを楽しんだ。この川で釣りができるのもあと数時間だと思い、キャッチした一匹一匹をいとおしむ思いで優しくリリースした。
上流部の釣り場ここでもたくさんのガリエツが相手をしてくれた
レギュラーサイズのガリエツ彼らにはたくさん楽しませてもらった
夕方最後に入ったのは、これまで釣りをしたことのない中州だった。残り時間が限られていたので、魚の着いていそうな流れに的を絞り込んでフライを流した。ここでもビーズのシステムは好調で次々とコンディションの良いガリエツがヒットした。納竿時刻となり、最後の一匹を丁寧にランディングしてＥ氏に記念撮影してもらって釣りを終えた。
今回の釣行のラストフィッシュ素晴らしい釣行だった
帰る途中で川を泳いで渡るヒグマを見かけたケタが釣れなかったのは残念だったが、それすら気にならないほど満足できる１日だった。４日間全体を振り返っても、未知の釣り場で試行錯誤しながらも自分の釣りを組み立て、そして十分過ぎる結果が出せたので多いに納得して釣りを終えることができた。幸せだった。
