２日目
1日目は薄日のさす曇天だったが、2日目は朝から今にも雨が降り出しそうな空模様だった。スケジュールのゆったりしたツアーを選んだので、9時半にホテルを出発した。まず中華民国のために戦って没した英霊を祀る忠烈祠を訪れた。ここでは正面の大門と奥の正殿の前に2名ずつ衛兵が立っていて1時間ごとに交代式が行われている。少し待って10時から始まった交代式を見学した。衛兵たちの整然とした一糸乱れぬ動きがとても凛々しくて美しかった。
忠烈祠戦没した英霊が祀られている
大門の両側には衛兵が直立不動で立っている
山門
正殿こちらにも２名の衛兵がいる
衛兵交代式の様子交代する衛兵が大門から正殿へと行進していく
行進の様子あげた手足の角度までピタリと一致している
忠烈祠の次は故宮博物院に向かった。故宮博物院の見学は僕がこの旅行で一番楽しみにしていたものだった。団体入り口で、館内でもガイドさんの説明を聞くことができるヘッドセットを借りてから入場した。故宮博物館は中国大陸からの見学客が多くてかなり混雑していると聞いていたので、ラッシュアワーの通勤電車のような状況を覚悟していたが、実際にはそれほどではなかった。有名な展示物には人だかりができていたが、それ以外の場所は比較的ゆっくり鑑賞することができた。2時間弱の見学時間ですべての部屋を見て回ることはできないので、小物類や陶磁器を主に鑑賞した。
故宮博物院中国の歴史的な宝物が展示されている
宗周鐘祭祀用の楽器として作られた青銅器だ
翠玉白菜の展示室一番人気のある展示物だ
さすがにこの部屋は混雑していた
翠玉白菜これを自分のカメラで撮影できるとは思っていなかった
清の時代の宝飾品繊細な細工が見事だ
画像左の杯は同じ品がオークションで数十億円で落札されたそうだ僕が最も感銘を受けたのは、鏤彫象牙雲龍文套球と呼ばれている象牙の彫刻品だ。象牙の球を内側から何層にも薄い球状に彫り剥がし、それぞれが自由に回転することができる究極の精緻工芸品だ。以前からガイドブックなどで写真を見たことはあったが、実物を目の前にして、ただただ驚嘆して眺めるだけだった。
鏤彫象牙雲龍文套球の展示室僕が一番見たかった展示品だ
鏤彫象牙雲龍文套球素晴らしすぎて言葉を失ってしまった
故宮博物院で嬉しかったことは、昨秋から館内の展示物の撮影が条件付き（ストロボ、三脚、自撮棒の不使用など）で解禁されたことだった。素晴らしい作品を自分のカメラで撮影している時間は至福のひと時だった。
見学後は隣接する中華レストラン、故宮晶華で昼食をとった。台湾風の優しい味付けのおいしい中華料理だった。料理の目玉は展示品の翡翠白菜を模した本物の白菜の蒸し物だった。展示品には繁栄の象徴としてイナゴが乗っているが、料理にはイナゴの代わりに小さなエビが乗せられていた。
故宮晶華故宮博物院に隣接するレストランだ
運営はリージェントホテルが行っている
店内の様子落ち着いた雰囲気で食事が楽しめた
翠玉白菜を模した白菜の蒸し物このレストランの名物メニューだ
昼食後は高速道路を使って台北郊外の観光地、九份に向かった。移動に要した時間は1時間ほどだった。九份が近づくにつれて雨が本降りとなってきてしまった。
昼食後は九份に向かった九份は昔は金の産出地として栄えた地域で、今は山間の傾斜地に茶芸館や飲食店、土産物屋が立ち並ぶ独特の景観が人気の観光地だ。巷説では宮崎駿のアニメ、千と千尋の神隠しの舞台のモデル地だといわれている。そんな訳で土砂降りの雨にもかかわらず、日本からの観光客も大勢訪れていた。
雨にもかかわらず大勢の観光客が訪れていた
見晴らし台からは何も見えなかった九份では、まずアニメに登場する建物のモデルになったといわれている茶芸館の阿妹茶楼で茶芸体験をした。中国茶に関して全く詳しくなかったので、茶の入れ方・飲み方の一つ一つの作法がとても目新しくて興味深かった。入れてくれたお茶は香りも味もよかったが、それ以上に茶菓子がおいしかった。
阿妹茶楼九份のシンボル的な建物だ
茶芸体験店の方が解説しながらお茶を入れてくれた
茶菓子僕はお茶よりこっちのほうが好みだった
ひとしきりお茶と茶菓子で休憩した後は九份の街並みを散策した。階段と坂道の両側に店々の立ち並んだ街並みは異国情緒満点だった。散策の途中で階段を登り切った場所にある甘味処、阿柑姨芋圓で名物の芋圓を味わった。芋圓はタロイモを原料とした芋団子で、これをかき氷にトッピングしたり汁粉に入れたりして提供している。雨で体が冷えていたので温かい汁粉を注文した。素朴な甘さと独特な食感が気に入った。
九份の街並み狭い階段の両脇に建物が立っている
阿柑姨芋圓階段の一番上にある甘味処だ
芋圓の入った汁粉素朴で優しい味だった
九份から台北には40分ほどで戻ってきた。途中パッケージツアーの定番スポットの免税店に立ち寄ったが、特に買いたいものもないので店内のブランドショップをただ眺めて時間を潰した。
エバーリッチ免税店僕には用のない場所だった
この日の夕食は宿泊しているリージェントホテルの中華レストラン、晶華軒でコース料理を味わった。どの料理も素晴らしくおいしかった。特に白身魚の蒸し物、鼓汁蒸藍斑は蒸し加減と豆鼓を使ったソースの味加減が抜群で、今まで食べた中華料理の中でもトップクラスのおいしさだった。
晶華軒リージェントホテルのメインダイニングだ
前菜どれも丁寧に作られていた
白身魚の蒸し物抜群においしかった
