8日目
この日は朝からナイル川の対岸（右岸）へ渡りゲームドライブ（いわゆるサファリ）を楽しむことになっていた。このアクティビティーを申し込んだ時点では、何らかのグループツアーに参加して、大人数で1台の車に乗り専門のレンジャーの案内で動物たちを観察して回るツアーを想像していた。ところがデニスにどんなツアーになるのか尋ねると、外部ツアーに参加するのではなく、カンパラから乗ってきたワンボックスカーをデニスが運転して得我々だけで見て回るのだと教えてくれた。この時初めて、僕が乗ってきたワンボックスカーは屋根が開閉できるサファリ仕様だったことを知った。
早い時間帯の方がいろいろな動物を見られるチャンスが多いから7時の始発のフェリーに乗ろうと前夜デニスが提案してくれた。そこで前日までと同様5時45分に朝食をとり、6時過ぎにロッジを出発した。6時半にフェリー乗り場に着くと、既に5，6台の車が並んでいた。そのため最初のフェリーには乗れず、7時15分頃の2番船に乗って対岸に渡った。
6時30分のフェリー乗り場すでに行列ができていた
屋根を上げてフェリーに乗り込むデニスの車
フェリーの船上台船の左右に取り付けた二基のエンジンで進路を調節しながら川を渡っていた
対岸に着いたフェリー対岸に渡るとすぐにゲームドライブが始まった。僕は後部座席の上に靴を脱いで立ち、跳ね上げた屋根のピラーを握って体を安定させながら、左右に広がる林や草原に目を凝らした。デニスは運転しながら運転席から動物を探してくれた。走り始めて5分もすると林を抜けて目の前にはサバンナが広がった。すぐに色々な動物たちが姿を見せ始めた。イボイノシシやジャクソンなどは道のすぐそばで餌を食べたりくつろいだりしていた。草原の丘の上にはキリンのシルエットも見えた。子供のころ、テレビ画面に食い入るようにして眺めていた景色が、いま自分の目の前に広がっていた。嬉しくてたまらなかった。
車の上から見た景色この林を抜けるとサバンナが広がっていた
ジャクソン（Jackson's hartebeest）道のすぐ脇に佇んでいた
丘の上にたくさんのキリンが見えた今回の釣行ではこのゲームドライブに備えて高倍率のデジカメを持ってきたので、それで写真をたくさん撮影した。最初のうちは、デニスに対して車を止めてもらったり、少しだけ移動してもらったりする指示をタイミングよく出すことができなかった、次第に二人の呼吸もあってきてベストポジションから動物を観察したり撮影したりすることができるようになってきた。デニスも大型動物だけでなく、小さな鳥なども見つけて僕にたくさん教えてくれた。
ロスチャイルドキリン（Rothschild's giraffe）この地域にしかいない種類だ
ゲームドライブを楽しむ別のグループ
イボイノシシ（Warthogs）群れで行動していた
オリビ（Oribi）小型で愛くるしい
ゲームドライブの主役はやはり大型の肉食獣だ。この地域にはライオンと豹が生息している。草食動物やサルなどは次々と姿を現し、写真をたくさん撮ることもできたが、肉食獣の姿はなかなか見ることができなかった。
ウガンダコーブウガンダの国獣に指定されている動物だ
ゾウの群れ
ウガンダコーブの群れ周囲を警戒しながら草を食べていた
ゲームドライブを始めてしばらくするとデニスが携帯で連絡を取り始めた。ゲームドライブのドライバー同士のネットワークがあるらしい。一本の電話を受けるとデニスが車を方向転換させ、速度を上げて走り始めた。ライオンが出たのでそこに向かうぞ、と教えてくれた。
5分ほどで目的の場所に着いた。既に多くの車が集まっていて、草原の一角にみんなの視線やカメラの向きが集中していた。そこを見ると雄のライオンが歩き去っていくところだった。かろうじて後ろ姿だけ見ることができた。
ライオンの後ろ姿このまま草地の奥へ去っていった
一台のサファリカーがスタックしてしまったみんなで押して助け出した
そのついでに車上の姿を撮影してもらった
足元はこうして踏ん張っていた翌日は少し筋肉痛だった
その後は水辺のキャンプサイトで車を降りて休憩したり、アルバータ湖に広がるナイルデルタを眺めたり、内戦で廃墟となったホテルを見たりしながらゲームドライブを続けた。ハイエナの巣穴や水辺に集うアフリカスイギュウの群れなどを見ることができた。
カバの群れ陸上からカバを見たのは初めてだった
デニスと記念撮影まじめだがおちゃめな男でもあった
開けた地面でくつろぐタパスモンキーとウガンダコーブ
ハイエナの巣穴夜行性なので昼間は巣穴の奥にいる
パームヤシの木がたくさん生えていたゾウが実を好んで食べることで次々と生えてくる
水辺に集うアフリカスイギュウいったんロッジに戻って昼食をとるため、11時半頃フェリー乗り場に戻った。フェリー乗り場では地元の男性達が民族楽器で音楽を演奏していた。その音色を聞きながら川を渡る風に吹かれて12時のフェリーを待った。
民族楽器で演奏する男性たち動画はこちらから
対岸からフェリーがやってきたロッジに戻り、シャワーを浴びてからレストランで昼食を食べた。1週間の滞在でレストランで昼食をとるのはこの日が初めてだった。その後15時過ぎまでのんびりと過ごした。
ロッジの昼食この日のメニューはフィッシュ＆チップスだった
15時過ぎに再び車に乗り、16時のフェリーで対岸に渡って夕方のゲームドライブをスタートさせた。最初のうちは日がまだ高かったので動物たちは木陰に入ったり、羽を広げたりして暑さをしのいでいた。日が傾き始めると少しずつ動物たちに動きが出てきた。大自然の中で過ごす彼らの様子を目の当たりにすることができ、とても楽しい時間だった。（動物たちの動画はこちら、ドライブの様子の動画はこちら）
木陰に身をひそめるジャクソン多くの動物たちはそれぞれに日差しを避けていた
羽を広げて熱を逃がすミナミジサイチョウ（Ground Hornbill）
全く同じポーズをとるキリンの親子
授乳中のウガンダコーブの母子夕方になるとこうしたシーンが多く見られた
ウォーターバック（Waterbuck）の雄立ち姿が凛々しかった
帰りは19時の最終フェリーに乗った。ちょうど日没の時間帯だった。日没は昨日までも毎日ロッジから眺めていたが、地平線付近の雲に遮られて、地平線に太陽が沈む様子を見ることはできていなかった。この日は幸運なことに地平線付近に雲がなく、ジャングルに沈んでいく真っ赤な太陽を見ることができた。とても感動的な光景だった。
アフリカの大地に太陽が沈んでいくこの光景が見たかったのだ
徐々に赤みを増していく太陽
ジャングルにゆっくり沈んでいった
